当院の特色(専門外来)

上咽頭擦過療法(EAT)

主な適応:慢性上咽頭炎、後鼻漏


塩化亜鉛溶液をつけた専用の細長い綿棒を用いて、両鼻腔から上咽頭に擦り付けます。必要に応じて口腔側から咽頭倦綿子を用いて、同様に上咽頭を擦過します。疼痛と出血が主な有害事象ですが、疼痛は一時的で、また出血した場合でもほとんど自然に血は止まります。後鼻漏は特に難治で、週一回程度で数十回以上治療が必要になり、漢方薬を併用することがあります。念のため、血液をサラサラにするお薬の確認と、基本的に事前に一度採血にて出血傾向がないかどうか確認してから行いますが、明らかな出血傾向のある方や施術に理解が得られず協力が難しい小学生以下の方はご遠慮頂く場合があります。上記適応以外にも上咽頭の炎症やその波及による鼻閉や頭痛、首・肩こり、神経内分泌(特に自律神経)系の乱れによるめまい、耳鳴り、倦怠感、不安やうつ症状、自己免疫異常による二次疾患としてIgA腎症や掌蹠膿疱症、関節リウマチや、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎などに効果が期待できる可能性があります。一度受診されてご相談されることをお勧めします。

和温療法

主な適応:冷え性、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など)、心不全、筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CSF)など


文字通り全身を「和ませ温める」だけの治療ですが、それゆえ体への負担のない安全で優しい治療です。手順は以下の通りで、所要時間は約1時間程度です。原則事前予約制ですので、時間に余裕をもって来院お願いします。

脱衣して専用の病衣に着替え、血圧・心拍数・体重を測定します。

電話ボックスのような遠赤外線乾式サウナ室に入室し、約60℃で全身を15分間温めます。

サウナ出浴後さらに専用のベッドにあおむけに寝て、毛布で全身を覆い30分安静保温します。

最後に汗を拭きとり体重を測定、発汗に見合う水分を飲用(補給)し、血圧・心拍数を測定して終了します。


上記治療にて深部体温は平均約1℃上昇します。これにより一酸化窒素を介した血管内皮機能の改善と、動脈・静脈を拡張させることにより全身の血管抵抗が低下し、心臓に対する前負荷・後負荷が軽減します。結果として心拍出量が増加し、全身の血液循環が促進され心不全が改善します。心不全ガイドラインにもClassⅠに推奨されており、既存の薬物療法にも勝るとも劣らない効果が期待できます。心不全や血行障害などの治療を受けている方で、治療がなかなかうまく行かないという方は、一度主治医の先生とご相談のうえ試してみる価値はあるかと思います。なお狭いボックス内に入りますので閉所恐怖症の方、当日体調のすぐれない方(特にME/CSFの方は逆に症状が悪化する場合があります)、急性感染症などの方はご遠慮ください。

上記適応以外にもサウナに入りたいけど熱いサウナは苦手な方、変形性膝関節症や脳血管障害などで運動が難しい方、普段運動しない方でも汗をかいてリフレッシュしたい方などもお気軽にご相談ください。

《一般的な和温療法に加えて当院での施術の特徴として》

治療前後も含めて、室内の明るさ調節可能で、かつ静穏設計した完全個室で行うため、大勢でサウナに入るのに抵抗がある方や、汗でくずれたメイクを直したい方も他人の目を気にせずに治療できます。(受診から会計まで、院内で他の患者さんに会わないようにすることも可能ですので、ご希望の方は最初に申し出ください)。

またもし施術中に急に体調が悪くなった場合も、看護師呼び出しボタンで直ぐに対応可能となっておりますし、専用のサウナ治療室は酸素及び点滴している方も治療を受けられるような設計になっておりますので、安心して治療を受けていただけると思います。

*当治療は自由診療(保険外診療)になりますので、詳細はクリニックに問い合わせ下さい。

《コロナ後遺症外来》

1.  はじめに

日本でコロナウイルス感染が確認されて3年が経過しようとしています。
その間にワクチンも開発され一定の効果が認められていますが、その後も新たな変異ウイルスの出現によりイタチごっこの様相を呈しており、いまだ確実な治療法がないのが現状です。
感染する人が増えるに従って倦怠感や頭痛、関節痛など種々の後遺症で悩まされる人が報告され、通常の診療に加えてコロナ対応に追われる医療機関で後遺症の方を診る余裕がないことが問題となっています。
当クリニックではそのような方に少しでもお役に立てるようにコロナ後遺症外来を設置しました。

2.  診療の流れ

以前に検査をして抗原またはPCR検査で陽性、少なくとも2か月以上症状が続いていることを確認します。
同様な症状を呈する他疾患の除外のため、必要に応じて心電図やレントゲン写真、採血などを行います。
(もし他の疾患と判明した場合は、その治療を行います。場合によっては専門医に紹介しますのでご了承下さい)
上記診療でコロナ後遺症に矛盾しないと判断した場合、漢方薬、生活指導の見直し、慢性上咽頭炎がある場合はEAT(上咽頭擦過療法)も行う場合があります。